『日本DAO協会』設立発表会を開催しました!

2024年4月1日、多様なメンバーで構成される日本DAO協会有志一同が集まり、DAOの健全な発展のための環境整備を行う組織として、「日本DAO協会(にっぽんだおきょうかい)」を設立しました。日本DAO協会は、運営自体もDAOの形態をとりながら、事業者主体でのルールの策定、健全・適法なDAOの認証などを実施していくという世界初の挑戦を行います。そこで、協会設立に合わせて、同日16時より日本DAO協会設立発表会を東京都渋谷区にあるCrypto Cafe & Barにて開催し、同時にZoomでのライブ配信を行いました。

待ちに待ったDAO協会の設立

まずはじめに、応援メッセージとして、自民党デジタル社会推進本部web3プロジェクトチーム(web3PT)の事務局長である川崎ひでと衆議院議員より開口一番「待ちに待ったDAO協会の設立である」との話からはじまりました。

昨年、RULEMAKERS DAOの発起人である本嶋孔太郎氏がDAOの普及について課題があることを相談され、それを受けて「DAOルールメイクハッカソン」を開催。多種多様な方々の意見を取りまとめて、DAOのガイドライン作成や相談窓口となる協会設立につながったことが紹介されました。

DAOを使った世界がどんどん広がっていくことが川崎氏の夢であり、協会設立はその第一歩であることを力強く語っていただきました。

自民党衆議院議員 川崎ひでと氏

世界的なブランドや取り組みが登場し、世界をリードして欲しい

続いて、千葉工業大学学長兼デジタルガレージ共同創業者取締役の伊藤穰一からは、協会設立にあたり関係者が「素晴らしいプロセスを踏んで、インクルーシブに進めていったことがすごい」との話からスタート。

「日本は淡々とWeb3をクリプトウィンター(暗号資産冬の時代)の間もやり続けてきた。今回発足した日本DAO協会の根っこにあるのは、いかに社会に役に立つかということと政府と国民と企業が一緒になって、どうやって社会的意義があるDAOを作っていくかということだと思う。DAOの法整備は世界では日本が最初であり、協会の設立も含めてこれらを契機にして、日本発の世界的なブランドや取り組みが登場し、世界をリードしていくことを願う。海外に英語で発信し、グローバルマーケットも意識しながら発展していくと、インパクトが大きくなるだろう」と述べられました。

最後は、協会設立までの関係者への感謝と今後も協会でできることがあれば自身も参加していくと語っていただきました。

千葉工業大学学長 兼 デジタルガレージ共同創業者取締役 伊藤穰一氏

DAO協会の設立は、究極のDAO実現への第一歩

次に祝辞として、日本ブロックチェーン協会代表理事の加納裕三氏が登壇しました。

「理想のDAOを追い求めている方々の尽力によって、これから合同会社型DAOが設立できるようになると聞いており、日本のWeb3が前に進むように感じている。私はずっと言っているが、これから目指すべきは究極のDAO、ブロックチェーンが自動的にサービスを提供して、人々は働かなくていい、もしかするとAIが自動的に映画を創り、それに対して対価を払う世界がやってくるかもしれない。まずはその第一歩がDAO協会設立だと思う」と話し、日本ブロックチェーン協会と共にWeb3を盛り上げようと協会への期待を寄せました。

日本ブロックチェーン協会代表理事 加納裕三氏

DAOの恩恵により資金調達や作品創作がしやすくなる世界に全力で協力したい

二人目の祝辞として登壇されたのは、アーティストの草野絵美氏。

「私は日本で一番、親子でWeb3の恩恵を受けてきたアーティストです。2021年夏、当時8歳だった息子が“Zombie Zoo Keeper”(ゾンビ・ズー・キーパー)という名前で作品発表をし、スティーヴ・アオキさんに買っていただきました。そして、来月からは東京ドームシティとコラボさせていただきますが、息子の活躍の背景には海外のDAOや周りのサポートがありました。 また、私が共同設立したWeb3アニメスタジオ“新星ギャルバース”もDAOで出会ったメンバーを集い、コミュニティベースでアニメ制作を取り組んでおります。 今回、日本でDAOが作りやすくなることで新たなコミュニティやユーザー中心のビジネスが生まれることに期待し、クリエイターが新しい手段で資金を調達したり、新しい作品を創ったりという可能性があることから全力で協力したい」との応援の言葉を頂きました。

アーティスト 草野絵美氏

日本においてDAOをしっかり体現し、それを実行していく

続いて、来賓の紹介後に日本DAO協会の発起人の一人である本嶋孔太郎が挨拶しました。

冒頭に、「日本DAO協会が日本においてDAOをしっかり体現し、それを実行していくという思いのもと、自律分散型の組織の設立準備を行ってきたこと。そして、有志メンバーが寝る間も惜しんで活動、貢献していただいたこと」に感謝を述べ、協会の設立背景や目指しているビジョンの共有を行いました。

日本DAO協会発起人 本嶋孔太郎氏

まず、日本DAO協会は「あらゆる垣根を越えて、共通の想いを持った人々が協働し、自らが望む未来を実現していく世界」を目指しています。既存のアナログで中央集権的なシステムから、ブロックチェーン技術をベースとするスマートコントラクトやトークンを用いた様々なものが入り混じった自律分散型の新しいシステムへの移行期にある今、日本DAO協会は、既存のシステムをハックしながら、人々や社会、組織を、新しいシステムへ橋渡しをする役割を担います。

ロケットをモチーフとして、「既存のシステムからtake offし、新しいシステムにsoft Landingするための、橋渡し的なシステムがDAO協会」であると考えています。法律をベースとした、法人や契約、規制が、DAOを中心とした新しいシステムを縛ることにもなりますが、逆に既存のシステムとの橋渡しの役割も担うため、弁護士である私がこの場に立たせて頂いていると考えています。

DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、特定の目的のために人と資金を集め、分散型で自律的に運営される組織のことですが、トレジャリーとトークンを中心に、分散型で自律的な意思決定をベースとした管理と貢献活動が行われます。重要なのは、DAOではそれぞれのメンバーが自律的に役割を担い、分散型の意思決定プロセスを通じて組織運営に貢献していくという点です。日本DAO協会も、DAOの一つとして、健全なDAOエコシステムの発展という特定の役割を担っていく存在です。

では、なぜ今、DAOが必要とされているのでしょうか。それは、既存の組織形態が抱える問題を解決し、新たな可能性を切り拓くことができるからです。従来の組織は、中央集権的な意思決定構造を持ち、硬直的で変化に適応しづらいという問題がありました。また、参加者のモチベーションを維持することが難しく、イノベーションが生まれにくい環境になりがちでした。

一方、DAOは、分散型の意思決定により、より素早くて柔軟な組織運営を可能にします。参加者は自身の意思で自由に参加し、貢献に応じて報酬を得ることができます。これにより、モチベーションを高く維持し、イノベーションを促進することができます。また、DAOは、ブロックチェーン技術を活用することで、高い透明性と信頼性を確保します。資金の流れや意思決定のプロセスが全て可視化され、不正が起こりにくい環境が整います。加えて、DAOは、国境を越えたコラボレーションを可能にします。世界中の志を同じくする人々が、自由に参加し、協働することができます。これにより、グローバルな課題解決に取り組むことが可能になります。このように、DAOは、既存の組織形態の問題を解決し、新たな価値創造の可能性を開く、まさに時代が求める組織形態だと言えます。

しかし、DAOを実現するためには、まだまだ多くの課題があります。法的な位置づけが不明確で、トラブルやリスクも懸念されます。ツールやインフラも未成熟な部分が多く、参加のハードルが高いのが現状です。日本DAO協会は、こうした課題を解決し、健全なDAOの発展を支援するために設立されました。私たちは、DAOの一つとして、自律分散型の意思決定プロセスを通じて、以下のような役割を担っていきます。

  • 業界の自主規制団体として、DAOのガイドラインや認証制度の策定に取り組みます。法律や行政とも連携し、DAOに関する制度設計に関わってまいります。これにより、DAOの法的な位置づけを明確にし、トラブルやリスクを未然に防ぐことを目指します。
  • 良いDAOのモデルケースを作り、広く共有することで、DAOの健全な発展を促します。DAOの設計や運営のベストプラクティスを示し、情報やノウハウを集約・発信することで、参加者の裾野を広げてまいります。
  • 私たち自身がDAOを体現します。日本DAO協会は、新しい組織形態へのチャレンジです。アジャイルに、皆で作り上げていくことを目指します。トレジャリー管理、トークン設計、意思決定の方法など、DAOの運営に必要な要素について、議論を重ね、最適解を探求していきます。

私たちは、志を同じくする皆様のご参加をお待ちしています。技術者、経営者、法律家、クリエイター、学生、主婦の方々など、多様なバックグラウンドを持つ人々が集い、それぞれの強みを生かして活躍できる場を作りたいと考えています。日本DAO協会の活動を通じて、多様な人々の協働を可能にし、社会の様々な課題解決につなげていきたいと考えています。私たちの挑戦は、日本社会に新しい風を吹き込み、世界に大きなインパクトを与えるものになるでしょう。

協会のより詳しい活動内容やスケジュールについてはこちら、またはDiscord内で紹介しています。

DAOは自身が成長でき、素晴らしい体験をもたらしてくれる

続いて、協会設立に貢献した準備メンバーの中からmiyukiさん、sabiiさん、Shimizu@Cutlassの3名が挨拶されました。

miyukiさんは「一か月前に設立に参加し、自身はDAOの初心者であるが、調べると色々とわかってきました。DAOのことを知らない周りの方々にもわかってもらえるような活動を行いたい」。

sabiiさんは「最近関わり始めたが、毎日毎晩DAOについて様々な方々と関わり合うことができて、素晴らしい体験をさせていただいている」。

最後にShimizu@Cutlass は「DAOを通じて自身が成長できた部分があり、DAOの色んな可能性を世の中に広げられる活動をしていきたい」とそれぞれの抱負を語りました。

miyukiさん

Shimizu@Cutlassさん

最後に

最後は、会場に取材に来られていた多数のメディアやオンライン参加者からの質問に、協会設立発起人の一人である上泉雄暉氏が場に加わり、本嶋孔太郎氏とともにわかりやすい説明に努めました。

多数のメディアが参加し、質問が飛び交いました。

会場やオンラインからの質問に答える日本DAO協会発起人の上泉雄暉氏(左)と本嶋孔太郎氏(右)

今後も、このイベントを皮切りに日本DAO協会では様々な場所でイベントを開催し、一人でも多くの方にDAO知っていただく活動を進めてまいります。

この記事を書いた人

IKEDA TAISHI
IKEDA TAISHI
#今日はここでWORK を掲げ、#いつでもどこでもオフィス にしている多拠点ライフのデジタルノマド。2020年に新しい地方移住のあり方や働き方の発信を掲げ、最新の移住トレンドを発信する雑誌『複住スタイル』を立ち上げる。若者のスタートアップや廃校活用の小学校設立支援、それに伴う教育移住まちづくりでのDAO活用を検討。